積水ハウス(1928)2027年1月期第1四半期決算を分析|営業利益26.2%増、開発事業が急伸も米国は赤字、今後の業績と売買判断

積水ハウス(1928)が2026年6月4日に発表した2027年1月期第1四半期決算を分析します。今回の決算は売上高9088億7800万円で前年同期比1.7%増、営業利益761億400万円で26.2%増、経常利益724億9500万円で54.9%増、親会社株主に帰属する四半期純利益584億7900万円で75.2%増となりました。

売上高は1.7%増と小幅な伸びですが、営業利益は26.2%増です。営業利益率も前年同期の約6.7%から約8.4%へ大きく改善しており、表面的には非常に強い決算です。

ただし、中身を見るとかなり濃淡があります。

今回の増益を大きく牽引したのはマンション事業と都市再開発事業です。マンション事業の営業利益は前年同期比528.4%増、都市再開発事業は130.3%増となりました。一方、国際事業は前年同期48億4100万円の営業利益から42億3900万円の営業損失へ転落しています。戸建住宅事業も営業利益33.2%減です。

さらに経常利益54.9%増、純利益75.2%増には、為替差益や投資有価証券売却益など営業利益より下の項目による押し上げがあります。

したがって今回の積水ハウスは、「全事業が絶好調の好決算」ではなく、「国内の開発型・ストック型事業が非常に強く、米国の不振を吸収した好決算」と見るのが適切だと考えます。

目次

今回の決算を5段階で評価

評価項目評価コメント
売上高★★★☆☆9088億円、1.7%増。利益ほど売上成長は強くない
営業利益★★★★★761億円、26.2%増
利益率★★★★★営業利益率約8.4%、前年約6.7%から大幅改善
ストック型事業★★★★★賃貸住宅管理13.0%増益、リフォーム5.7%増益
開発型事業★★★★★営業利益157.9%増。今回最大の増益源
戸建住宅★★☆☆☆売上4.3%減、営業利益33.2%減
国際事業★★☆☆☆売上14.4%減、42億円の営業赤字
受注・受注残★★★★☆受注高0.8%減だが、受注残高は9.0%増
通期予想★★★★☆営業利益2.5%増予想を据え置き
進捗率★★★☆☆営業利益約21.7%。純利益は約26.8%
特殊要因★★★☆☆為替差益・投資有価証券売却益が経常・純利益を押し上げ
財務★★★★☆自己資本比率43.6%へ改善。ただし現金は大幅減
CF★★★☆☆第1四半期CF計算書は作成されていない
株主還元★★★★☆年間145円予想、前期144円から増配予定
キャピタルゲイン期待★★★★☆国内利益改善は強い。米国回復なら次の上昇材料になる

売買判断

保有 ★★★★★

新規買い ★★★☆☆

売却 ★☆☆☆☆

今回の決算なら、すでに保有している場合は基本的に売却しません。

営業利益が26.2%増え、連結営業利益率も大きく改善しています。特に賃貸住宅管理、仲介・不動産、マンション、都市再開発の利益が強く、国内事業の稼ぐ力はかなり高まっています。

一方、新規買いは★★★☆☆としました。

決算内容は良いのですが、営業利益急増の中心がマンションや都市再開発の物件引き渡しによる開発型事業であり、毎四半期同じ利益が出るとは限りません。

さらに、今後の成長柱として重要な国際事業が赤字に転落しています。

キャピタルゲイン目的なら、現在の好業績だけでなく、米国事業が回復する兆候を確認できれば、より強気に買いやすくなると考えます。

売上1.7%増に対して営業利益26.2%増

第1四半期の売上高は前年同期8940億4400万円から9088億7800万円へ増加しました。

増加額は約148億円です。

一方、営業利益は602億8700万円から761億400万円へ増加しました。

増加額は約158億円です。

売上の増加額より営業利益の増加額の方が大きいというかなり特徴的な決算です。

その理由は利益率です。

営業利益率を単純計算すると、

前年同期 約6.7%

今期 約8.4%

となり、約1.6ポイント改善しています。

売上高はほぼ横ばいに近いのに、利益率改善によって営業利益を大きく伸ばしています。

粗利益率も改善している

売上総利益は前年同期1796億2800万円から1998億1900万円へ増加しました。

一方、売上原価は7144億1600万円から7090億5800万円へ減少しています。

販管費は1193億4000万円から1237億1400万円へ増えましたが、それ以上に売上総利益が増えたことで営業利益が大幅に増加しました。

売上総利益率を単純計算すると、前年同期の約20.1%から今期約22.0%へ改善しています。

これは今回の決算で非常に評価できる部分です。

売上高を無理に拡大したのではなく、採算の良い案件や事業の構成比が上がったことで利益率が改善しています。

経常利益54.9%増には為替要因もある

営業利益26.2%増に対して、経常利益は54.9%増となっています。

ここには営業外損益の改善があります。

前年同期は為替差損46億4300万円を計上していましたが、今期は逆に為替差益36億3100万円を計上しました。

持分法による投資利益も8億2900万円から27億9800万円へ増加しています。

つまり為替だけでも前年から大きなプラス方向への変化があります。

したがって、経常利益54.9%増をそのまま本業の成長率と見るべきではありません。

本業を見るなら営業利益26.2%増を中心に評価するべきです。

それでも26%増ですので、十分に強い決算です。

純利益75.2%増にも一時利益がある

親会社株主に帰属する四半期純利益は584億7900万円で75.2%増となりました。

しかし今期は投資有価証券売却益106億6900万円を計上しています。

前年同期の投資有価証券売却益は24億5300万円でした。

したがって、純利益75%増には約107億円の株式売却益も寄与しています。

もちろん前年同期にも約25億円の売却益がありましたが、今期の方がかなり大きいです。

今回の決算については、

純利益75%増より営業利益26%増を評価する

という見方が重要です。

一時的な利益を取り除いても、本業はしっかり改善しています。

今回最大の増益源は開発型ビジネス

今回の営業利益増加で最も大きかったのが開発型ビジネスです。

仲介・不動産、マンション、都市再開発を合計した開発型事業の売上高は1683億1700万円で前年同期比36.5%増、営業利益は346億5100万円で157.9%増となりました。

営業利益率は前年同期の10.9%から20.6%へ急上昇しています。

営業利益は前年同期134億3300万円から346億5100万円へ増加しました。

増加額は約212億円です。

全社営業利益の増加額が約158億円ですので、開発型事業だけで全社の増益額を上回っています。

つまり今回の好決算を作った最大の要因は、明確に開発型ビジネスです。

マンション事業の営業利益は6倍超

特に強烈なのがマンション事業です。

売上高は前年同期203億6500万円から468億6400万円へ130.1%増加しました。

営業利益は25億2500万円から158億7200万円へ528.4%増です。

営業利益率は12.4%から33.9%まで上昇しています。

非常に強い数字です。

会社によると、「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」や「グランドメゾン渋谷大山町」などの引き渡しが計画通り進捗しました。

また「グランドメゾン THE 白金台」「グランドメゾン栄 The Tower」などの販売も好調としています。

ただしマンション事業では大型物件の引き渡し時期によって四半期利益が大きく変わります。

今回の158億円という営業利益を単純に4倍して年間利益を予想するべきではありません。

都市再開発も130.3%増益

都市再開発事業の売上高は356億7100万円で前年同期比54.4%増、営業利益は96億4400万円で130.3%増です。

営業利益率は27.0%と非常に高くなっています。

積水ハウス・リート投資法人へ「プライムメゾン用賀砧公園」など5物件を引き渡したことが寄与しています。

ここもマンションと同様に、不動産売却のタイミングによって利益が変動します。

したがって今回の開発型事業の利益急増には、

本業として計画された利益ではあるものの、四半期ごとの振れが大きい

という特徴があります。

特別利益ではありませんので営業利益として高く評価できますが、毎四半期繰り返されるストック収益とは分けて考える必要があります。

仲介・不動産もかなり良い

仲介・不動産事業は売上高857億8100万円で7.4%増、営業利益91億3300万円で35.9%増となりました。

営業利益率は前年同期8.4%から10.6%へ上昇しています。

販売用不動産の仕入・販売体制強化や、法人・金融機関との引き合いルート拡大などが奏功しました。

マンションほど派手ではありませんが、売上と利益率の両方が改善しており、質の良い増益です。

ストック型ビジネスが非常に安定している

今回、開発事業ほど目立ちませんが、私はストック型ビジネスもかなり評価します。

賃貸住宅管理事業は売上高1851億3400万円で3.1%増、営業利益222億2500万円で13.0%増です。

営業利益率は11.0%から12.0%へ改善しました。

リフォーム事業も売上高415億3800万円で5.4%増、営業利益45億1300万円で5.7%増となっています。

ストック型事業全体では売上高2266億7200万円で3.5%増、営業利益267億3900万円で11.7%増です。

営業利益率は10.9%から11.8%へ改善しています。

ここはかなり重要です。

マンションのように引き渡し時期で利益が大きく動く事業だけでなく、安定収益である賃貸住宅管理も増益しています。

積水ハウス全体の利益の質という意味ではプラスです。

請負型ビジネスはほぼ横ばい

請負型ビジネス全体では売上高2998億3800万円で2.0%減、営業利益243億1000万円で1.0%減となりました。

営業利益率は8.0%から8.1%とほぼ横ばいです。

中身を見ると明暗があります。

賃貸・事業用建物と建築・土木は増益ですが、戸建住宅が大きく落ち込んでいます。

したがって国内住宅市場全体が好調というわけではありません。

戸建住宅は今回の弱点

戸建住宅事業の売上高は1041億8800万円で4.3%減、営業利益は44億7400万円で33.2%減となりました。

営業利益率は前年同期6.2%から4.3%まで低下しています。

会社は住宅ローン金利や建設コスト上昇、インフレなどによる購入者マインド低下を指摘しています。

一方で政府の住宅取得支援策などもあり、足元の引き合い自体は概ね安定していると説明しています。

今回の決算で私は、この戸建住宅の利益率4.3%を注意して見ています。

主力ブランドの一つである国内戸建住宅がこのまま低収益化するのか、それとも今後価格転嫁や高付加価値商品の拡販によって改善するのかが重要です。

賃貸・事業用建物は増収増益

賃貸・事業用建物事業は売上高1222億500万円で2.1%増、営業利益134億900万円で8.8%増となりました。

営業利益率も10.3%から11.0%へ改善しています。

都市部の高利便性エリアを中心に「シャーメゾンZEH」などを展開しており、ZEH住戸割合は87%となっています。

戸建住宅が苦戦する一方、賃貸住宅関連は比較的強い状態です。

建築・土木は減収でも増益

建築・土木事業は売上高734億4400万円で4.9%減ですが、営業利益は64億2700万円で16.3%増となりました。

営業利益率は7.2%から8.8%へ改善しています。

前年同期の大型工事進捗の反動で売上は減ったものの、採算性の高い追加・変更工事を獲得したことで増益となっています。

売上減でも利益を増やしているため、内容としては悪くありません。

最大の懸念は国際事業

今回最も気になるのは国際事業です。

売上高は前年同期2576億1600万円から2206億3700万円へ14.4%減少しました。

前年同期は48億4100万円の営業利益でしたが、今期は42億3900万円の営業損失となりました。

利益前年差は約91億円の悪化です。

全社営業利益が26.2%増という好決算の裏で、海外はかなり苦戦しています。

主因は米国戸建住宅です。

米国では住宅ローン金利の高止まりや景気への不透明感によって顧客の様子見姿勢が続き、引き渡し戸数の減少やインセンティブの付与が利益を圧迫しました。

積水ハウスが今後世界展開を強化するうえで米国は非常に重要です。

キャピタルゲイン目的なら、私は今回の決算で国内開発事業の好調以上に、次回の米国事業を注視します。

国際事業には回復材料もある

ただし、海外について悲観一辺倒でもありません。

会社によると、2025年に取得した物件を含め販売が堅調だった米国コミュニティ開発事業や、賃貸収益が増加した米国賃貸住宅開発事業は増益となっています。

さらに国際事業の受注残高は前期末2950億9900万円から4122億3900万円へ39.7%増加しています。

ここは非常に重要です。

現在の損益は赤字ですが、将来売上につながる受注残は大きく増えています。

米国戸建住宅の収益性が改善し、この受注残が利益へ転換できれば、今後の全社利益にかなり大きなプラスになる可能性があります。

受注高は0.8%減だが受注残高は9.0%増

全社受注高は1兆705億800万円で前年同期比0.8%減となりました。

やや弱い数字です。

特に国際事業は10.3%減、戸建住宅は2.9%減、賃貸・事業用建物は4.3%減となっています。

一方で建築・土木は19.3%増、リフォームは13.4%増、マンションは12.8%増です。

そして重要なのが受注残高です。

全社受注残高は1兆9660億4700万円となり、前期末比9.0%増です。

請負型は4.7%増、リフォームは24.8%増、国際事業は39.7%増となっています。

受注高だけを見ると少し心配ですが、受注残はむしろ増えています。

現時点で「将来の売上が急減する」という状態ではありません。

通期予想は据え置き

2027年1月期の通期予想は変更されていません。

売上高4兆3530億円で前期比3.7%増、営業利益3500億円で2.5%増、経常利益3140億円で4.2%減、親会社株主に帰属する当期純利益2180億円で6.1%減を予想しています。

第1四半期は営業利益26.2%増なのに、通期では2.5%増予想です。

ここだけを見るとかなり保守的に感じます。

ただし第1四半期は開発型事業の利益が非常に大きかった一方、今後は米国事業や建設コスト、住宅資材価格など不透明要因があります。

会社も中東情勢の緊迫化による一部住宅資材価格上昇などを想定しつつ、現時点では不透明要素が多いため計画を据え置いたと説明しています。

通期予想に対する進捗率

第1四半期終了時点での単純進捗率を計算すると、

売上高は約20.9%、

営業利益は約21.7%、

経常利益は約23.1%、

純利益は約26.8%です。

純利益はすでに4分の1を超えています。

ただし投資有価証券売却益などの影響がありますので、私は純利益より営業利益の約21.7%を重視します。

単純な25%基準では少し低く見えます。

しかし積水ハウスは物件引き渡し時期などによって四半期ごとの利益構成が変わるため、第1四半期だけで通期未達を警戒する数字ではありません。

むしろ前年同期比26.2%増でスタートしていることを評価したいです。

開発事業の利益を除いて考える必要がある

今回の連結営業利益は761億円です。

そのうち開発型事業だけで346億5100万円あります。

前年同期の開発型事業営業利益は134億3300万円でした。

つまり開発事業の営業利益増加額は約212億円です。

一方、連結営業利益全体の増加額は約158億円です。

このことから、今回の全社増益は開発型事業がほぼすべて作り、国際事業や戸建住宅の悪化を吸収した構造であることが分かります。

これは今回の決算を見るうえで非常に重要です。

「営業利益26%増だから全部順調」と考えるのではなく、

国内開発事業が想定以上に強い一方、米国戸建住宅はかなり弱い

という二面性を理解しておく必要があります。

財務は自己資本比率改善

第1四半期末の総資産は4兆9583億600万円、純資産2兆2102億7900万円となりました。

自己資本比率は前期末42.7%から43.6%へ改善しています。

負債は前期末2兆8184億円から2兆7480億2700万円へ減少しています。

純資産は220億円増加しました。

住宅・不動産会社としては一定の財務安定性を維持しています。

現金が約1390億円減っている

一方で現金預金は前期末4351億7700万円から2961億5900万円へ減少しています。

約1390億円の減少です。

会社は法人税等の支払いなどによるものと説明しています。

短期借入金は4143億3200万円から3783億7300万円へ減少していますが、1年内返済予定長期借入金は1610億3200万円から2091億100万円へ増加しました。

社債や長期借入金も大きな金額です。

積水ハウスは開発用不動産や米国事業などへ大量の資金を投じる事業モデルですので、現金減少だけで財務悪化とは判断しません。

ただし今後は利益だけでなく、キャッシュ創出力を見る必要があります。

分譲土地が増加

貸借対照表を見ると、分譲土地は前期末1兆5077億8100万円から1兆6133億3100万円へ増加しています。

分譲建物も1兆935億7400万円から1兆1151億6200万円へ増えています。

つまり販売用不動産への資金投下が続いています。

また、前期末に投資不動産等として計上していた358億5800万円を分譲建物・分譲土地へ振り替えています。

不動産在庫が今後順調に販売されれば利益になります。

一方で住宅・不動産市況が悪化すれば資金が寝る可能性があります。

このため今後は棚卸資産の増加と販売速度をセットで確認したいところです。

CFは今回の資料では確認できない

今回、第1四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていません。

そのため営業CF、投資CF、財務CF、フリーCFを今回の資料から正確に評価することはできません。

このためCF評価は★★★☆☆としています。

減価償却費は前年同期97億9300万円から108億6100万円、のれん償却額は44億6600万円から45億6600万円へ増えています。

現金が約1390億円減っていることや、分譲土地が増えていることを考えると、本決算では営業CFとフリーCFを必ず確認したいです。

年間配当は145円予想

2026年1月期の年間配当は144円でした。

2027年1月期は中間72円、期末73円の年間145円を予想しています。

1円増配です。

増配幅は小さいですが、利益が通期では減益予想である中でも増配を維持しています。

積水ハウスは成長株というだけではなく、配当を受け取りながら保有できる点も強みです。

キャピタルゲインを狙う場合でも、配当による下値支えがあることはプラス材料だと考えます。

今回の決算で最も評価したいポイント

一番評価したいのは営業利益率の改善です。

売上高はわずか1.7%増なのに、営業利益は26.2%増となりました。

二つ目は開発型事業です。

マンション、都市再開発、仲介・不動産がそろって増益し、開発型事業全体では営業利益157.9%増となっています。

三つ目はストック型事業です。

賃貸住宅管理とリフォームが安定的に利益を増やしており、開発型だけに依存していません。

四つ目は受注残高です。

受注高は0.8%減ですが、受注残は9.0%増、国際事業では39.7%増となっています。

五つ目は財務です。

自己資本比率は43.6%へ改善しています。

一方で気になるポイント

最大の懸念は国際事業です。

前年の営業黒字48億円から42億円の赤字へ転落しています。

積水ハウスが将来さらに成長するには米国事業が重要です。

国内だけで現在の利益成長を永続させるのは難しく、米国戸建住宅の回復は必須だと考えます。

二つ目は戸建住宅です。

営業利益33.2%減、利益率4.3%まで低下しています。

三つ目は今回の開発型利益が非常に大きいことです。

計画された本業利益ではありますが、マンションや物件売却は四半期ごとに振れやすいので、今回の利益率をそのまま年間へ延長するのは危険です。

四つ目は特殊要因です。

純利益75%増には為替差益や投資有価証券売却益も入っています。

五つ目は現金減少と販売用不動産増加です。

今後キャッシュ・フローの確認が必要です。

キャピタルゲインという視点ではどう見るか

キャピタルゲイン目的で見ると、今回の積水ハウスはかなり興味深い決算です。

ただし私が注目するのは純利益75%増ではありません。

重要なのは、

連結営業利益率が約6.7%から8.4%へ改善したこと

です。

さらに国内では賃貸住宅管理、仲介、不動産、マンション、都市再開発と複数事業が利益を伸ばしています。

現在は米国が足を引っ張っている状態です。

逆に考えると、

国内事業が現在の強さを維持したまま米国事業が黒字へ戻れば、全社利益にはまだ改善余地がある

ということです。

私はここを今後のキャピタルゲイン材料として注目します。

今回の決算だけでも良いですが、米国回復まで確認できれば評価はさらに一段上がります。

私ならどう売買するか

すでに積水ハウスを保有しているなら、私は今回の決算では売却しません。

営業利益26.2%増、営業利益率8.4%、ストック型11.7%増益、開発型157.9%増益という数字なら、少なくとも次の決算まで保有します。

特に国際事業が赤字であるにもかかわらず全社営業利益が26%増えている点を評価します。

新規買いについては少し慎重です。

私なら決算後の株価上昇を一括で追うより、押し目で分割します。

理由は、今回の利益成長を開発型事業が強く牽引しており、同じ利益が第2四半期以降も続くとは限らないからです。

まず一部を買い、第2四半期で米国事業の赤字縮小が確認できれば追加します。

国際事業が黒字へ戻り、国内ストック型・開発型も堅調なら、新規買い評価を★★★★☆以上へ引き上げたいです。

次の決算で見るポイント

最優先は国際事業です。

今回42億3900万円の営業赤字となりました。

これが赤字縮小へ向かうかを見ます。

特に米国戸建住宅の引き渡し戸数、インセンティブ負担、利益率の変化が重要です。

二つ目はマンション事業です。

今回営業利益158億7200万円、営業利益率33.9%という非常に高い水準でした。

次の四半期でも高収益を維持できるかを確認します。

三つ目は都市再開発です。

物件引き渡しによる高利益が年間計画に沿って進んでいるかを見ます。

四つ目は賃貸住宅管理事業です。

ストック型利益の中心であり、安定した二桁増益を継続できるかが重要です。

五つ目は戸建住宅です。

営業利益率4.3%から回復できるかを見ます。

六つ目は受注です。

全社受注高0.8%減から再びプラス成長へ戻るかを確認します。

特に国際事業では受注残39.7%増が実際の売上・利益へ変わってくるかが重要です。

七つ目はキャッシュ・フローです。

利益成長と販売用不動産への資金投下のバランスを確認します。

売却を考える条件

私が売却を考えるのは、まず国際事業の赤字がさらに拡大した場合です。

米国事業は今後の成長戦略の重要部分ですので、赤字が常態化するようなら投資ストーリーを見直します。

次に開発型事業です。

今回の大幅増益が一時的で、第2四半期以降急減し、それをストック型事業で補えない場合は注意します。

戸建住宅の営業利益率がさらに悪化し、国内請負型全体が減益方向へ向かう場合も警戒します。

また、受注高だけでなく受注残高まで減少へ転じる場合は、将来の売上鈍化を意識します。

そして販売用不動産が積み上がる一方で営業CFが弱くなる状態が続く場合も、キャピタルゲイン目的では保有比率を下げることを考えます。

逆に国内事業の利益が維持され、米国が黒字へ戻るのであれば、私は簡単には売却しません。

今回の私の結論

今回の積水ハウスの第1四半期決算は、かなり良い決算です。ただし「全面的な好調」ではありません。

売上高は1.7%増にとどまりました。

それに対して営業利益は26.2%増となり、営業利益率は約6.7%から8.4%へ改善しています。

本業の収益性が大きく向上した点は高く評価できます。

その最大の牽引役は開発型事業です。

マンション事業は営業利益528.4%増、都市再開発事業は130.3%増、仲介・不動産事業も35.9%増となりました。

さらに賃貸住宅管理を中心とするストック型事業も11.7%増益です。

一方で弱い部分も明確です。

戸建住宅事業は33.2%減益。

国際事業は前年48億円の営業黒字から42億円の営業赤字へ転落しました。

さらに純利益75.2%増には、為替差益36億円や投資有価証券売却益106億円なども含まれています。

したがって、今回の決算を評価するなら純利益ではなく営業利益を見るべきです。

その営業利益が26.2%増えているため、特殊要因を除いても十分な好決算です。

私は今回を、

「国内の高収益事業が米国不振を吸収した決算」

と評価します。

そして今後の最大のポイントは米国です。

国際事業の受注残高は39.7%増えているため、現在の赤字だけを見て悲観する必要はありません。

この受注残が実際の売上・利益へ転換し、米国戸建住宅が再び黒字化すれば、国内事業の好調と合わせてもう一段の利益成長が期待できます。

したがって私なら、

保有は継続。

新規買いは押し目で分割。

第2四半期で米国赤字縮小を確認できれば追加買い。

という判断です。

今回の総合評価は**★★★★☆**です。

営業利益と利益率は★★★★★級ですが、開発型事業への増益依存、戸建住宅の減益、米国事業の赤字を考慮して一段下げました。

キャピタルゲインを考えるうえで次に見るべきものは、今回のマンション利益がさらに増えるかだけではありません。

国内の好調を維持しながら、米国事業まで回復できるか。

ここが確認できれば、積水ハウスの利益成長ストーリーはかなり強くなると考えます。

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