投資を始めて間もない頃、「100株で1単元」という基本ルールを知ったとき、私は正直、戸惑いました。なぜなら、欲しい銘柄のほとんどが1単元=10万円以上。少額から始めようとしていた私にとっては、思っていたよりもハードルが高く感じたのです。
単元株の安心感と「ちゃんと持ってる」感覚
まず単元株(100株)を保有するメリットは、やはり配当や優待がきちんと得られることに尽きると思います。
企業によっては1株でも配当が出るところもありますが、やはり制度設計の基本は“単元株主”。優待制度もそのほとんどが100株以上を対象にしています。
また、売買の自由度も違います。単元未満株では成行注文しかできなかったり、時間帯が制限されたりしますが、単元株ならリアルタイムで板を見ながら売買することができます。
これは値動きのある銘柄やタイミングを重視する投資では、非常に大きな利点です。
さらに、感覚的な話になりますが、「100株を持っている」というだけで、どこか“自分もちゃんと投資をしている”という実感が得られる気がしました。
封筒で届く優待や報告書、議決権の案内。そういったものを受け取ったときに、「株主になったんだな」という手応えを感じたのを今でも覚えています。
単元未満株の軽さと、柔軟な資金運用
一方で、私が少額投資を続けるうえで、より重視するようになったのが単元未満株の柔軟さです。少ない資金で、気になる銘柄を少しずつ買って試せる。これがとにかく大きなメリットでした。
1株あたり2,000円の銘柄でも、月に1株買えば1年で12株。これを2〜3銘柄並行して買っていけば、自分だけのポートフォリオが自然に出来上がっていきます。
そして、その中には上昇する銘柄もあれば、下がるものも出てきます。
こうした“実践型の学び”が、私にとっては何よりの教材でした。
また、少額ゆえに心理的なストレスも小さく、下がっても「様子を見る」余裕が生まれます。
500円の株を1株買って、それが400円になっても100円のマイナス。単元株であれば1万円のマイナスになるところですが、単元未満株では“実験”に近い感覚で投資を続けることができました。
途中で迷った「単元にするべきか?」という問い
ある時期、私は少しずつ同じ銘柄を買い増して「いつか100株にしよう」と考えていました。そうすれば優待ももらえるし、配当も満額になる。それがひとつのゴールのように思えたからです。
ところが、30株、40株と積み上げていく中で、ふと疑問が湧いてきました。「これって、目的が“単元にすること”になってしまっていないか?」と。
もともとは値上がり益や業績改善に期待して買ったはずの銘柄が、いつのまにか“単元を完成させること”が目標になっているような、そんな違和感でした。
もちろん、信念を持って積み上げていくなら意味はあると思います。でも私の場合は、「いま資金を使うべきはこの銘柄なのか?」という判断よりも、「あと○株で単元だし」という理由で買っていたところがあり、それに気づいたとき、いったんそのやり方を見直すことにしました。
「単元は結果として持てればいい」くらいでちょうどいい
今の私は、単元株を意識して買うことはあまりありません。まずは1株買ってみて、しばらく様子を見る。良さそうなら買い増すし、違うなと思ったら売る。その中で気づけば50株、70株と増えていって、自然と単元に近づいていく。そういう流れの方が、今の自分にはしっくりきています。
それに、単元株を持つことにこだわりすぎると、「この銘柄に資金を集中しすぎていないか?」という別の問題も出てきます。
少額投資においては、リスクを分散しながら学びを深めていくことが重要だと私は考えているので、むしろ“分散して単元未満株を複数持つ”方が、今のフェーズには合っています。
単元株の魅力は“自信を持てたときのご褒美”のようなもの
それでも、「この企業の将来性には確信がある」「長期で応援したい」と思える銘柄に出会えたときには、自然と単元株を持ちたいと思うこともあります。実際、1社だけ単元株を保有していて、優待や配当を受け取りながら、長く見守っていこうと決めた銘柄もあります。
そういう意味では、私にとって単元株は“ステータス”ではなく、“自信を持てた結果の到達点”のようなものです。無理して目指すものではなく、たどり着いたときに「よかったな」と思えるような、ちょっとしたご褒美に近い感覚です。
おわりに:迷ったら、今の自分に合う方を選べばいい
単元株と単元未満株、どちらを優先すべきか。これは一概に答えが出せるものではなく、そのときの資金状況、投資経験、目的によって変わってくるものだと思います。
私の場合は、「少額でたくさん試す」ことを優先したいフェーズなので、単元未満株が合っています。でも、もっと資金に余裕があって、配当や優待を楽しみながら安定運用したい人にとっては、最初から単元株を買う方がストレスが少ないかもしれません。
大切なのは、「今の自分は何を重視したいのか」をはっきりさせること。そこが定まれば、単元か単元未満かの選択も、自ずと決まってくる気がしています。
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