短期で売ったつもりが長期株に課税?同じ銘柄の取引で手取りが変わる理由と対策

私はあるとき、長期保有していた銘柄を「ちょっと買い増して、短期で売ろう」と思いました。
株価が上がっていたので、短期で利益を取るにはちょうどいいと判断したのです。

ところが実際に売ってみたところ、思ったほどお金が戻ってこなかった。
計算してみると、売ったのは“短期目的で買った分”のはずなのに、長期保有していた株の含み益にも課税されていたのです。

今回はこの経験を通して、「同じ銘柄を同じ口座で売買することによって生じる税金上の落とし穴」と、私がその後にたどり着いた解決策をまとめておこうと思います。

目次

長期保有していた株に短期目的で“上乗せ購入”

私は以前、ある銘柄を100円で100株買って、長期保有していました。
その後、その銘柄が200円になったときに、「この波に乗って短期で利益を取ろう」と思い、同じ銘柄を200円で100株追加購入。

「この新しい分は、数日〜数週間で売って利益を確定しよう」
そんなつもりで買ったのですが、ここで税金計算上の誤算が起きました。


売却時、税務上の取得単価は“平均”で計算される

数日後、株価は250円に。予定通り、100株だけ売却。

自分としては、「200円で買った新しい分」を売ったつもりです。
ところが、税金の計算では保有している全株の“平均取得単価”が適用されるのです。

このときの平均取得単価は:

  • (100円×100株 + 200円×100株)÷ 200株 = 150円

なので、税務上は「150円で取得した株を250円で売った」という扱いになり、
譲渡益は100円 × 100株 = 10,000円、税金は2,031円、手取りは22,969円でした。


新規に買って売るだけなら、税金は少ない

同じ条件で、もしまったく新規に200円で株を買って、それを250円で売っていたら:

  • 譲渡益は50円 × 100株 = 5,000円
  • 税金は1,016円
  • 手取りは23,984円
パターン譲渡益税金手取り
長期保有株に買い増しして売却10,000円2,031円22,969円
新規で買って売却5,000円1,016円23,984円

利益の額は大きいのに、手取りは逆転してしまうという結果でした。


小さな値上がりだと、元本割れすることもある

もっと深刻なのは、株価の上昇がわずかだった場合。

たとえば平均取得単価150円の状態で、株価が210円までしか上がらなかったとします。
このときに100株売却すると:

  • 売却額:21,000円
  • 譲渡益:6,000円 → 税金:1,219円
  • 手取り:19,781円

でもこの100株は200円で購入したものです。元本は20,000円。
→ 手取りが元本を下回り、実質損失になるというケースです。


同じ銘柄でも“別口座”で買えば課税は分離できる

この経験から、私は対策を考えるようになりました。

それが、「同じ銘柄でも、短期と長期を“別の口座”で管理する」という方法です。

証券口座は、一般口座や特定口座、新NISA口座を複数持つことができますし、証券会社自体を使い分けることもできます。

たとえば:

  • 長期保有分 → A証券の口座(売る予定なし)
  • 短期で売却したい分 → B証券で新たに購入

こうすれば、それぞれの口座で別々に取得単価と譲渡益が計算されるため、
短期分だけに税金がかかり、長期分の含み益に“先取り課税”されることがなくなります。


少額投資こそ、“手元にいくら戻るか”を重視したい

私はこの失敗を通して、「いくら儲かったか」ではなく、「いくら手元に残ったか」を基準に考えるようになりました。

特に少額投資では、数百円〜1,000円の違いが資産全体の伸びに直結します。
だからこそ、買い方や口座の使い方で、税金による“見えない損”を回避する工夫が必要だと感じています。

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