少額投資を始めてから、ずっと意識しているのが「タイミング」です。
買うタイミング、そして売るタイミング。この2つの判断で、資産の増え方は驚くほど変わってきます。
中でも「売るタイミング」は、利益が出たかどうかという感情も絡むぶん、客観的に判断するのが難しいと感じています。
私はこれまで、「とりあえず上がったら売る」──つまり、利益が出たこと自体を“売る理由”にすることが多くありました。
でも最近、ふと疑問に思うようになりました。
利益が出たから売る、という判断だけで本当にいいのか?
それは本当に今、手放すべき局面なのか?
今回は、そうした“売る理由”について自分なりに考え直してみたいと思います。
利益が出たときの安心感と、そこに潜む落とし穴
たとえば、買ってから2週間で+12%になった株があるとします。
少額投資であっても、2万円が2万2,400円になっていれば、しっかり利益を出せた感覚になります。
その時、「もういいかな」と思って売る。
これは直感的にはすごく“正しい判断”に見えます。現金化できるし、税引き後でも手元に残る利益が確保できる。
次の投資にも回せるし、まったく悪くない。
でも、ふと思うのです。
その株の上昇理由は何だったのか?
いま自分が売ろうとしているのは、“利益が出たから”なのか、“これ以上は伸びないと思ったから”なのか?
意外と、そこを意識せずに売ってしまっていることが多いのではないか。私はそう思いました。
「利益が出たから売る」は、“理由”ではなく“結果”かもしれない
利益が出たから売るというのは、たしかにリスクを抑えるうえで有効な手段です。
でもよくよく考えると、それは株を買った目的と照らして整合性があるかどうかが重要なのではないかと感じています。
もし短期のリバウンド狙いでエントリーしたなら、+10%で利確は理にかなっています。
でも中長期で「業績成長に期待して仕込んだ」銘柄を、数%の上昇で売ってしまうと、もともとの戦略と矛盾する行動になってしまうこともある。
つまり、「利益が出たから売る」というのは、戦略に基づいた理由ではなく、気分や表面の数字に反応しているだけかもしれないのです。
私が意識するようになった“売る理由”の分類
そこで最近は、「自分がその株を売ろうとしている理由は何なのか?」を意識的に分類して考えるようにしています。
以下のような基準です:
- 価格的理由(十分な上昇、短期目標達成)
- ファンダメンタルの変化(業績の悪化、事業環境の変化)
- 需給・チャートの崩れ(出来高減少、テクニカルの節目割れ)
- ポートフォリオ調整(集中しすぎ、資金移動)
- 外部要因(政策変更、金利動向、業界全体の地合い)
このどれにも当てはまらず、ただ「含み益が出ているから」という理由しかない場合は、「本当に今、売るべきなのか?」と一度立ち止まるようにしています。
“伸びる株を途中で手放す”ことへのジレンマ
過去を振り返ると、「売ったあとに上がった株」はいくつもありました。
+10%で利確したけど、2ヶ月後には+40%になっていた。
あのとき「利益が出たから売った」ことが、結果的に“将来の利益を切り捨てた判断”になっていたのです。
もちろん、「もっと持っていればよかった」は結果論です。
だからこそ重要なのは、“あのときの売却判断に自分なりの根拠があったか”どうか。
単に利益が出ていたから…では、ちょっと心もとない気がしています。
利益を守るという意味では合理的。でも…
ここまで少し否定的に書いてきましたが、利益確定=悪いこと、というわけではありません。
むしろ、含み益を含み益のままで終わらせる人の方が多いとも言われるほど、「確実に利益を取る」行為は重要です。
ただ、それが思考停止のルーティンになっていないか?
「なんとなく利益が出たから売っておこう」ではなく、「なぜ今の段階で利益を確定すべきか」を自分の中で明確にしておくことが、納得感にもつながると感じています。
私なりの売却判断のルール
今の私は、「利益が出たら売る」のではなく、「売るべき条件がそろったら売る」という考え方に変わりつつあります。
たとえば:
- 業績がピークを打ったように見える
- 一時的なテーマで急騰している
- テクニカル的に抵抗線にぶつかって反落しそう
- ポートフォリオで偏りが出た
- そしてもちろん、価格的にも十分な上昇があった
このような複数の視点が重なったときに、「今が売り時かもしれない」と判断します。
そうすると、不思議なことに「売ったあとにさらに上がった」としても、以前ほどの後悔がなくなりました。
なぜなら、自分で納得できる“売る理由”がそこにあったからです。
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