利確タイミングの違いによる比較:半分売り、全売り、分割売り

少額投資を始めてしばらく経った頃、ふと感じたのが「利確の仕方ひとつで、結果が大きく変わるのではないか?」という疑問でした。
利益が出た時に、すべて売って現金化するのか、それとも半分だけ売って残りを保有するのか。あるいは、値動きを見ながら何回かに分けて売るのか。
いろいろ試してみたい気持ちはありましたが、少額だからこそ1回ごとの判断がとても重要になります。

今回は「同じように値上がりした株でも、売り方によって何がどう変わるのか?」について、半分売り・全売り・分割売りの3パターンを比較しながら、自分なりに整理してみました。


目次

想定ケース:100円→226円になった銘柄を売却する

前提として、今回の比較は以下のようなケースを想定しています。

  • 100円の株を200株(=2万円分)購入
  • 株価が2.26倍の「226円」まで上昇
  • どのように売るかによって、その後の手元資金と保有残がどう変わるかを比較
  • 売却益には20.315%の税金がかかる前提

この「2.26倍」という数字は、半分売れば元本がほぼ戻り、残りを“タダ株”として持ち続けられる水準として意識しています。


① 半分売り:元本を確保して保有継続

まず最もよく耳にするのがこのパターン。「半分売って元本を抜いて、あとは利益分を放置する」という戦略です。

  • 売却株数:100株(226円 × 100株 = 22,600円)
  • 税引き後の手取り:約20,040円
  • 購入時の元本:20,000円
    → 実質的に元本がほぼ回収できている状態
  • 残りの100株:評価額22,600円(取得単価0円扱い)

この戦略の利点は、**その後どれだけ下落しても損失リスクがない(精神的に握りやすい)**ということです。残りの100株が10円になっても、元本は確保済み。
さらに、上昇が続けば恩恵も受けられます。
一方で、「半分しか利益確定していない」という点は、資金効率面でやや見劣りする可能性があります。


② 全売り:利益を確定し、次の投資へ回す

次に考えるのが、すべて売って利益を最大化する方法です。

  • 売却株数:200株(226円 × 200株 = 45,200円)
  • 税引き後の手取り:約40,080円
  • 元本差し引きの純利益:20,080円(税引き後)
  • 保有残:なし

こちらは利益を確実に手元に残し、次の投資資金として活用できる点が最大の強みです。
「まだ上がるかも」と考えると売りづらいかもしれませんが、上がった後に急落する場面もある中では、この“出口を決めておく”姿勢は資産管理の観点でとても有効だと感じています。

ただし、残念ながらその後さらに株価が上がった場合は、恩恵を受けられないのがこの戦略の弱点です。


③ 分割売り:徐々に利益確定しながら上昇を追う

最後は、何回かに分けて売っていくスタイルです。たとえば、

  • 第1回:226円で50株売却(税引き後 約10,020円)
  • 第2回:260円で50株売却(税引き後 約11,540円)
  • 第3回:300円で100株売却(税引き後 約23,940円)

のように、段階的に売り上がっていくと、高値を取り逃がすリスクが減りつつ、売却価格の平均を上げていけるというメリットがあります。

特に、どこまで上がるかが読めない銘柄に対しては、この柔軟さが大きな武器になります。
ただし、常に価格をチェックして売却判断をする必要があり、手間と判断コストがかかるのも事実。
また、早い段階で売った分には「もっと持っていればよかった…」という後悔もつきまといがちです。


各パターンの比較と私なりの見解

戦略資金回収精神的余裕利益の最大化将来の伸びしろ判断の手間
半分売り◯(元本確保)◎(“タダ株”感覚)△(利益は半分)◎(残りを伸ばせる)
全売り◎(即資金化)◯(すっきり)◎(利益最大)×(伸びを逃す)
分割売り◯(段階的)◯(調整可能)◯(平均上げられる)◯(残しながら追える)△(都度判断)

私は今のところ、基本は“半分売り”をベースにしつつ、状況次第で分割売りも組み合わせるような考え方を持っています。
特に資金の限られた少額投資では、「元本を抜く」という行動だけで、次の投資に移りやすくなるメリットがあります。
その上で、「あとは勝手に育ってくれたらいい」と思える状態を作れることが、精神的にも大きいと感じています。


利確の正解は、相場ではなく自分の中にある

最終的に、どの売り方が正解かは人それぞれです。
私は「利益が出たなら売りたい」という気持ちが強いほうですが、含み益のまま持ち続けることで得られる成長のチャンスもあることは理解しています。

でも今は、「資金をどう動かすか」に重きを置くフェーズなので、資金回収と再投資効率を最優先にしています。
つまり、「含み益」ではなく「確定益」を積み重ねていくことの方に、価値を感じているということです。

これが変わることもあるかもしれません。資金が増え、長期で持てる余裕が出てきたら、また違った利確の形を選ぶかもしれません。

でも少なくとも今の私は、“利確の仕方”もまた戦略のひとつだと強く実感しています。


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