投資やお金に関する勉強を始めたばかりの方にとって、「複利の力」という言葉はどこか遠い話のように感じるかもしれません。
「複利は魔法」「雪だるま式にお金が増える」と言われても、実感が湧きにくいのが本音ではないでしょうか。
しかし、実際に数字を使ってシンプルなモデルで確認すると、“少額でも時間を味方につければ大きな差が生まれる”という複利の本質が見えてきます。
この記事では、毎月1万円という現実的な金額をもとに、利回りや期間によって資産がどう変化するかを具体的にシミュレーションしていきます。
月1万円の積立 × 年利3%でどれだけ増える?
たとえば、「毎月1万円ずつ、年利3%で運用した場合」に資産がどのように成長するのかを以下の表で示します(年1回複利で計算)。
積立期間 | 積立合計 | 複利後の資産 | 利益額 |
---|---|---|---|
10年 | 120万円 | 約139万円 | 約19万円 |
20年 | 240万円 | 約325万円 | 約85万円 |
30年 | 360万円 | 約579万円 | 約219万円 |
40年 | 480万円 | 約937万円 | 約457万円 |
年利3%というのは、特別高い利回りではありません。
それでも40年間続ければ、元本の約2倍近い成果を手にできることがわかります。
特に注目したいのは、後半の10年間の伸び方。30年目までで得られた約579万円が、さらに10年で約360万円も増えている点です。これが「複利の加速効果」です。
「利率」よりも「時間」のほうが重要な理由
資産形成では利回りの高さばかりに目が行きがちですが、実はもっと重要なのは「時間」です。
たとえば、年利6%で20年間積み立てた場合と、年利3%で40年間積み立てた場合では、後者のほうが大きな資産になるケースもあります。なぜなら、複利は「運用期間が長くなればなるほど爆発的な力を発揮する仕組み」だからです。
「いつか始めよう」と思っているうちは、複利の力は働きません。同じ元本でも“早く始める”ことの価値は想像以上に大きいのです。
複利効果は「後半」に最も効いてくる
複利の特性として忘れてはならないのが、「後半ほど効果が大きくなる」という点です。
これは「利益が利益を生む」構造によって、時間が経つごとに資産の増加スピードが加速するためです。
先ほどの例でも、最初の10年で約19万円しか増えていなかった資産が、30年以降では1年あたり20万円以上のペースで増えています。つまり、長く続ければ続けるほど「伸び代」が急激に大きくなるのです。
だからこそ、複利運用は「最初の数年でやめてしまう」のが一番もったいないやり方とも言えます。
少額でも「今すぐ始めること」が最大の戦略
多くの人が「元本が少ないからまだ始められない」と感じているかもしれません。
でも実際には、大きな元手よりも、早く始めてコツコツ続けられるかどうかのほうがずっと重要です。
たとえば以下のような選択肢があります。
- 毎月3,000円から始められる積立投資信託
- 非課税制度のあるNISA・iDeCoの活用
- 配当再投資型のETFやファンドで自動的に複利運用
これらを利用することで、時間を使った“資産成長の仕組み”を自分で作ることができます。
少額でも「複利の土台」をつくることは誰にでもできるのです。
まとめ:複利は“今からの積み重ね”がすべて
「複利は魔法」と言われるのは、実際に魔法のような力を発揮する場面があるからです。
でもそれは、一夜にして増えるという意味ではありません。
むしろ逆で、“早く始める”“地道に続ける”“仕組みに任せる”ことができた人だけが、その恩恵を受けることができます。
最初の1万円が、10年後、20年後には数倍に膨らんでいるかもしれない。
そう考えれば、今この瞬間が将来の資産を決める出発点になるのです。
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