少額投資を続ける中で、ふと目にとまったのが、派手に動かない銘柄たちでした。これまで私は、上昇トレンドを描くグロース株やテーマ株にばかり目を向けてきましたが、値幅の大きな短期勝負に疲れた時、ある種の“安定感”を求めてボックス銘柄に関心を持つようになりました。
値動きに乏しく見える銘柄でも、一定の範囲内で上下を繰り返しているなら、うまく立ち回ることで利益を積み上げられる可能性があります。
今回はそうしたボックス相場を形成する銘柄について、買いと売りのタイミング、そして税金を考慮した収益の考え方を整理してみました。
値幅のあるボックス銘柄は狙い目
私が注目しているのは、株価がある一定の範囲(たとえば900円〜1,100円)で行ったり来たりしている銘柄です。上下幅は約22%。このような“壁”がしっかりしていれば、底値圏で買い、上値付近で売ることが可能になります。
もちろん、毎回完璧に底や天井を当てることはできません。でも、±3〜5%程度の誤差で売買できれば、それでも十分な利幅になります。
重要なのは、ボックス幅が小さすぎる銘柄は避けること。たとえば950円〜1,000円のような狭いレンジでは、税金と手数料を引いた後に残る利益はごくわずかです。
売りの目安は「+15%」から
利益確定のタイミングについては、税引き後でどれだけ残るかを前提に考えています。
株の譲渡益には20.315%の税金がかかるため、たとえば+10%で売っても、実際の手取りは約+8%です。この程度では何度も売買しても資産の増加スピードは鈍く、効率が良いとは言えません。
そこで私は、税引き後でも+10%以上が残るラインを利益確定の基準としています。そのラインが、だいたい+15%です。
- 売却利益:+15%
- 税引後の手取り:約+11.9%
- 資金効率を考えたら、これが現実的な落としどころ
より大きな値幅を取れそうな場合は+20%を狙うこともありますが、相場は思い通りにいかないので、「欲張らずに+15%で確実に取る」ほうが結果的に良いと考えています。
買いは「ボックス下限−5%」まで引きつける
買いのタイミングについても慎重に考える必要があります。
ボックス相場であっても、下限を一時的に割り込む場面は少なくありません。そこで私は、ボックス下限そのものでは買わず、さらに5%ほど下がるのを待つというルールを想定しています。
たとえば、ボックスの下限が900円であれば、850円まで下がってきたら買い検討。こうすることで、買ってすぐ含み損になるリスクを軽減できます。
- 買い目安:ボックス下限 −5%
- 下抜けの“だまし”を拾いに行くイメージ
中途半端に飛びついてしまうと、思ったより戻らずに塩漬けになることもあるので、ここはかなり慎重に判断したいところです。
5回転した場合の増加試算
この売買基準で資金がどれだけ増やせるか、10万円を元手にしたシミュレーションもしてみました。
想定:
- 各回転で+15%の売却益(税引き後+11.9%)
- 再投資しながら5回売買した場合
結果:
1回目:10万円 → 111,900円
2回目:111,900円 → 約125,260円
3回目:約125,260円 → 約140,180円
4回目:約140,180円 → 約156,860円
5回目:約156,860円 → 約175,530円
1年に5回まわせたとすれば、1.75倍に増える計算です。もちろん現実にはそう簡単にうまくはいかないこともあると思いますが、目指す方向としては十分あり得ると思える数値です。
頻繁な売買における税金の影響
一つ注意が必要なのは、売却益にかかる税金が“毎回”発生することです。
長期投資のように「含み益のまま税金を先送りにする」ということができないため、回転売買では利益の約2割がその都度引かれるのが前提になります。
そのため、税引き後でも十分な利益が残る水準でのみ売買するという意識が必要になります。逆にいえば、+5%などの小幅な利幅を繰り返すだけでは、実質的にはあまり資産が増えないということです。
売買基準のまとめ
私が今、意識しているボックス銘柄の売買基準は以下の通りです。
- 買い:ボックス下限からさらに5%下落した水準
- 売り:取得価格から15%上昇した水準
- 税引き後利益:約+11.9%
- 目標回転数:年に3〜5回程度(チャンスがあれば)
このやり方で着実に回せる銘柄があれば、少額投資でも資金を増やしていける可能性があると考えています。
まだ実際にはこの戦略を本格的に始めてはいませんが、今後の有力な選択肢の一つとして、タイミングを見ながら試してみようと思っています。
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