株価が上がったら売って、下がったら買い戻す。
そんなシンプルな回転売買を、もっと気軽に、もっと頻繁に繰り返せたら、資産ってどんどん増えていくんじゃないか?
そんなふうに考えたことが、私にもあります。
とくに少額投資を始めたばかりの頃は、+3%や+5%で小刻みに利確を繰り返すことで、堅実に積み上げていけるのではと考えていました。
でもあるとき、シミュレーションをしてみて愕然としました。税引き後で見ると、思ったよりお金が残っていないのです。
今回はその経験から得た、「小さな利確を繰り返しても、なかなか資産が増えない理由」と、その背景にある“税金の罠”について整理してみたいと思います。
税引き前の数字にだまされやすい
たとえば、ある銘柄を100円で1株買って、105円で売ったとします。
税引き前では+5%の利益です。これを1,000株でやれば、+5,000円。
ぱっと見では「ちょっとずつでも利益が出ているんだからOKじゃないか」と思いたくなります。
ですが実際には、ここから約20.315%の税金が引かれます。
つまり、5,000円のうち約1,015円が税金として引かれ、手元に残るのは3,985円(=+3.985%)。
+5%が+3.9%。
「いや、それでもプラスだからいいじゃないか」と思うかもしれません。
でも、これを繰り返したときに「想定より増えない」という感覚が生まれ始めます。
回転回数が増えるほど、“効率の悪さ”が積み重なる
この「税引き後の削られ方」は、1回の利確では小さくても、何度も繰り返すと資産効率に大きな影響を与えます。
たとえば、毎回+5%(税引前)で利確し、手元に残るのが+3.985%だとして、それを10回繰り返した場合の資産の変化を見てみましょう。
- 初回:100,000円 → 103,985円
- 2回目:103,985円 → 約107,117円
- …
- 10回目:最終的に約147,700円(税引き後)
これは、税金を引かない状態での+5%複利10回(=約162,900円)と比べると、約15,000円も差が出ていることになります。
つまり、“税金がなければ162%になっていたはずの資産が、実際には147%にしかなっていない”。
これは決して小さな違いではありません。
小さすぎる利幅では“帳消しリスク”も高い
さらに言えば、+3%〜+5%で細かく利益確定していても、たった一度の−10%の損切りで、それまでの利益が帳消しになることもあります。
+3%を税引き後で換算すれば+2.39%ほど。
それを5回繰り返してやっと+12%ちょっと。
ここで1度−10%の損失を食らえば、ほぼ元通り。さらに、その−10%の損失分は損益通算できない年内利益だった場合、税金面でも損をしたまま終わることになります。
回転売買がうまくいくには、“勝率”だけでなく、“一回あたりの期待値”も重要になります。
その期待値が税引き後でしっかりプラスになっているか、“損失を上回るだけのリターンがあるか”を税引き後の数字で見直す必要があるのです。
私が考える「やる意味がある最低利幅」
では、どのくらいの利幅があれば“やる意味がある”と言えるのか?
これはリスク許容度や売買頻度にもよりますが、私は今のところ、税引き後で+10%以上が見込めるときにだけ回転売買を考えるようにしています。
これは、税引き前で+12.54%程度を目安にしているということです。
このくらいの利幅が取れるなら、「リスクを取ってでも利確しよう」という気持ちになれるし、もし1〜2回損切りがあっても“資産が増える方向にバランスが傾く”と感じているからです。
これより小さい利幅、たとえば+5%などでは、「やっているのに残らない」「手数料や税金で薄まる」「失敗1回でマイナス」というループに入る可能性が高いです。
長期保有とのバランスも重要
もうひとつ忘れてはならないのが、長期保有で含み益を維持しているあいだは、税金が先送りできるという利点です。
回転売買ではこのメリットが使えず、利益が出たらその都度、税金を払わなくてはいけません。
一方で、含み益で握り続ける限りは課税されず、その間に資産が膨らむ余地をキープできる。
この点を考えると、小さな利確を頻繁に行うより、ある程度まとめて大きく取る方が効率は良いのかもしれないと感じることもあります。
もちろん、いつ大きく動くか分からない相場で「大きく取る」戦略が常に正しいとは限りません。
でも、“小さく取る”戦略にも「思ったより増えない」落とし穴があるということは、一度立ち止まって見直してみる価値があると思っています。
私なりの結論
回転売買は、うまくいけば短期間で利益を積み重ねられる可能性があります。
でも、その“うまくいった”の中に、税金という名の見えないコストが常に含まれていることを忘れてはいけません。
+3%や+5%での利確は、税引き後で見ると驚くほど薄利です。
それを繰り返しても、思ったほど資産は増えないし、1回のミスでそれまでの努力が帳消しになるリスクもある。
だからこそ、私は「小さい利確をたくさん」ではなく、「意味のある利幅だけを取りにいく」戦略に切り替えました。
回転売買を否定するつもりはありません。むしろ、資金効率や成長の加速という点で、非常に有効な場面もあると思います。
ただ、その回数やタイミング、利幅の見極めには、税引き後で残る実利を常に意識する必要がある。
それが今の私の考えです。
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