「売った直後に株価が上がった…」 これは投資家であれば誰もが一度は経験する“あるある”の場面です。 この状況に強い後悔や焦りを感じ、「またすぐ買い戻さなきゃ」と衝動的な判断に走ることは、長期的に見て大きな損失に繋がりかねません。 本記事では、売却後に株価が上昇したときの考え方、感情の整理法、そして“再現性のある投資判断”を維持するためのマインドセットを深掘りしていきます。
なぜ売却後に上がるとき、人は強い後悔を感じるのか
売却後に株価が上がるとき、私たちは“取り逃がした”という感覚に襲われます。 これは「手に入るはずだった利益を失った」と脳が錯覚するからです。
しかし冷静に考えると、それは“あくまで可能性”であり、確定したものではありません。 その上昇が続いていたとしても、どこかで「売る判断」をしたはずです。 それをたまたま早く決断しただけなのです。
投資家心理と「自己否定」の罠
売却直後の上昇に最もダメージを受けるのは、「自分の判断が間違っていたのでは」と思い込んでしまうときです。 特に損切り後に急反発したときなどは、自信が大きく揺らぎます。
しかし、ここで重要なのは、結果と判断を切り離す視点です。
- 結果が良かった=判断が良かった
- 結果が悪かった=判断が間違っていた
という単純な構造ではありません。 判断とは、「その時点の材料とロジックに基づいて導いた選択」であり、それは結果とは別の次元の“プロセスの質”で評価すべきです。
売却は判断であり、未来予測ではない
売却は、未来を完全に予測するものではなく、「現時点での最適判断」を実行する行為です。
- 想定した業績進捗とズレてきた
- 株価が目標に到達した
- リスクが大きくなった
こういった理由に基づいて売却したのなら、それは“実行された判断”であり、成果物として完了した行動です。 その後に株価が上がろうが下がろうが、それは別のシナリオの始まりであり、前回の判断とは無関係です。
再エントリーは“ルールベース”で行う
「売ったあと上がった。買い直すべきか?」という問いは、感情ではなくルールに任せるべきです。
例:
- 「再エントリー条件に“決算進展”を入れておく」
- 「テクニカル的にブレイクしたら再購入」
- 「移動平均を上抜けたら再検討」
重要なのは、“感情の揺れ”で動かない仕組みを用意しておくこと。 ルールに従えば、「買い戻すべきか迷う」というストレスは大きく減ります。
売却後の株価を見るべきか、見ないべきか
一度売却した銘柄の株価をその後も追うべきかどうかは、投資スタイルによって異なります。
- トレーディング寄りの投資家:再エントリーのために“追う”べき
- 中長期の基本戦略:気にしすぎるなら“見ない”選択肢も
私は「再エントリーの条件が整うまで見ない」が基本スタンスです。 上昇する姿を眺めて悔しさを抱えている時間は、他の建設的な行動に置き換えることができます。
感情を「記録」と「振り返り」に変換する方法
悔しさ・迷い・焦りといった感情は、記録によって客観化できます。
実践方法:
- 売却した銘柄について、なぜ売ったのかを「日記」的に書く
- 3か月後、その時の感情と判断を見直す
- 結果に対する“再評価”を冷静に下す
このサイクルを繰り返すことで、「後悔」ではなく「学び」が蓄積されていきます。
完璧を手放すという考え方
すべての銘柄を底で買い、天井で売ることは不可能です。 投資は、完璧さを求めるほど苦しくなります。
- “取り逃がした利益”を数えるよりも
- “納得して行った判断”を積み重ねていく
これが、長期的にメンタルを安定させ、継続できる投資につながります。
まとめ:利益よりも“判断の質”を高める
売却後に株価が上がったとき、悔しさを感じるのは自然なことです。 しかしその悔しさを引きずって次の判断を狂わせてしまえば、本末転倒です。
「判断の質」を高める。 それこそが、“未来の利益”よりも大切な投資家としての成長なのだと思います。
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